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日外会誌. 82(3): 292-296, 1981


原著

Cruveilhier-Baumgarten病について

岐阜大学 第1外科

鬼束 惇義 , 後藤 明彦 , 林 勝知 , 雑賀 俊夫 , 斉藤 敏明 , 梅本 琢也 , 稲田 潔

(昭和55年9月3日受付)

I.内容要旨
門脈圧亢進症のうち,𦜝静脈あるいは傍𦜝静脈系を介して下大静脈系に流入する副血行路を有するものはCruveilhier-Baumgarten症候群と呼ばれている. このうち肝硬変症などの門脈圧亢進症に続発する後天的なものでなく,先天的に𦜝静脈が開存していると思われる症例があり,これらはCruveilhier-Baumgarten病とされている. 本病の診断には一般的にArmstrongの定義が用いられており, 本邦での報告例は7例にすぎない. しかしCruveilhier-Baumgarten症候群として報告されているもののうちには, 本病と思われるものもあり,最近経験した65歳女の1例を報告するとともにすでに報告してある1例をあわせ本病の特徴について検討した.その結果,本病の診断には,腹壁静脈の怒張や,静脈雑音の有無, さらには肝線維化の程度は重要でなく,肝内門脈系の低形成,𦜝静脈の開存および肝円靱帯の欠如により判定するのが妥当と考えられた.

キーワード
Cruveilhier-Baumgarten病, 𦜝静脈, 門脈圧亢進症

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