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日外会誌. 82(2): 181-192, 1981


原著

Radionuclide Angiography血管疾患に対する診断と有用性

千葉大学 第1外科(主任:伊藤健次郎教授)

足立 郁夫

(昭和55年7月26日受付)

I.内容要旨
血管疾患に対する非侵襲的検査法が現在注目されてきている中で,形態的情報を得る方法はいまだ十分とはいえない. Radionuclide Angiographyは解像力という点では血管造影法に劣るが, 非侵襲性,安全性,簡便性という点で有用な手段である.
1976年3月より1979年3月までに千葉大学第1外科外来受診の血管疾患の患者のうち134例, 193回にRadionuclide Angiographyを施行し,その解像力,診断率,読影上の問題点を検討した.
1) 動脈瘤の診断は良好であつたが,胸部大動脈瘤で診断ができなかつたもの,橈骨動脈の仮性動脈瘤の描出ができなかつた例があり,診断率は37/40 (92.5%)であつた.
2) 閉塞および狭窄の診断では大動脈ー外腸骨動脈までは35/41 (85.4%) と比較的良好であつたが,膝窩動脈以下では十分に描出することとはできなかつた.
3) 動静脈瘻.静脈系への早期出現, Radio Isotopeのpooling等により診断は可能. (3/4) 75%の診断率であつた.
4) Radionuclide Angiography は外来でのScreening として,また動脈再建術後のfollow up として有用であり,術後はほとんど血管造影をおこなわずにRadionuclide Angiographyにて代用している.
5) 部位的には大血管の診断は良好であるが,総腸骨動脈の診断は病変が多彩であること,骨盤腔内に深く入りこむこと等で診断が他よりもむずかしい.
6) 膝窩動脈附近の診断. 全身投与法では成績が悪く大腿動脈直接穿刺法により良好な造影能を得ている.
7) 静脈系は静注がそのまま直接造影となるため, 解像力もよく特に深部静脈血栓症, 上大静脈症候群,下大静脈閉塞症等の診断には有効である.

キーワード
Radionuclide Angiography, 血管疾患, 動脈瘤, 動脈閉塞性疾患, 静脈閉塞性疾患


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