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日外会誌. 82(1): 108-114, 1981


原著

統計的決定による診断治療の最適化

京都大学 第1外科(主任:戸部隆吉教授)

前谷 俊三

(昭和55年6月2日受付)

I.内容要旨
臨床医学において患者の生死や苦楽を左右するような重大な意志決定を迫られることがある.このような場合に過去の臨床データーを基に,最適の決定を下すための統計的方法を述べた.使用した例は次の通りである.1)閉塞性黄疸で血清ビリルビン値がある値のとき,経皮経肝的胆管ドレナージをするのがよいか,外科的減黄術の方がよいか(多くの治療法の中で患者の条件に応じた最適の治療法の選択方法),2)先天性胆道閉鎖症の可能性は強いが,新生児肝炎の可能性もある黄疸児に対して,即刻手術をすべぎかそれとも診断確定まで手術を延ばすべきか(診断未定で種々の疾患の確率がある場合の治療時期または治療法の決定方法),3)ある大きさの皮膚癌に対する放射線療法における至適線量はどれだけか(治療条件または患者側の条件の最適値を推定する方法),上記の例においてとくにプロビット解析が有用であつた.
従来の意志決定,例えば個人的体験や動物実験,あるいは理論的推論に基づく決定と比べて,統計的決定法の重要性を強調し,その実際的適用における種々の問題点を述べた.

キーワード
意志決定, 統計的決定, 診療の最適化, プロビット解析

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