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日外会誌. 81(12): 1576-1584, 1980


原著

胃切除後再建経路別にみた膵外分泌機能の変化とsecretin, gastrin分泌動態相関に関する実験的研究

久留米大学 医学部第1外科教室(主任:掛川暉夫教授)

福嶋 博愛

(昭和55年3月12日受付)

I.内容要旨
I) 研究目的, 胃切除後の再建経路別の膵外分泌機能の変化と内因性secretin, gastrin分泌動態相関について検討した.
II) 研究方法,体重l0~20kgの雑種成犬に膵外痩, Billroth I, IIの胃切除術を施行,非胃切除犬を対照群とし,術後5日目に刺激食として牛肝300gを負荷, 120分間の膵外分泌機能の変化と内因性secretin,gastrin分泌動態を観察した.
III) 成績
1) 胃切除後の膵外分泌機能は著明に低下し,両再建群間では刺激食負荷後の膵外分泌機能に差が認められた.すなわちB-I群は漸次分泌亢進傾向を示したのに対し, B-II群ではほとんど分泌亢進を示さなかつた.
2) 胃切除後のsecretin値は両再建群とも刺激食負荷後も上昇せず, gastrin 値ではB-I群にextragastric gastrin と考えられるgastrin responseが認められた.
3) 対照群では, 刺激食負荷後の膵外分泌機能亢進は著明であつたが, 相関するsecretin値の上昇は認めなかつた.
4) 胃切除による膵外分泌機能低下の液性因子の主因は,基礎分泌ではsecretin分泌低下,負荷後の膵外分泌機能差はcholecystokinin-pancreozymin(CCK-PZ) 分泌差によると考えられた.
5) 対照群において,刺激食負荷後早期120分間の膵外分泌亢進には,神経因子の関与も大きいが,液性因子ではsecretin はさほど関与せず, むしろsecretin 以外の因子CCK-PZ, vasoactive intestinal peptide, gastrin等が考えられ,特にCCK-PZが主役で他の因子は相乗的に膵外分泌機能に作用していることが推測された.

キーワード
胃切除術(Billroth I, II), 膵外分泌機能, secretin, gastrin, cholecystokinin-pancreozymin

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