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書誌情報]
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日外会誌. 81(8): 791-801, 1980
原著
腎性副甲状腺機能亢進症に対する外科的治療
I.内容要旨慢性腎不全から人工腎臓による血液透析療法をうけている患者が増加している.そして二次的なCa代謝異常から,骨の脱灰や吸収による骨•関節痛,病的骨折,軟部組織への石灰沈着,頑固な掻痒感などを訴える所謂腎性副甲状腺機能亢進症の患者が現われている.これらの息者に対する外科的治療として, 9症例に副甲状腺亜全摘出術, 2症例に腎臓移植術を行つた.
副甲状腺の摘出重量は最高が5.7gで,次が2.2gであった.その組織像はいずれも主として主細胞の過形成を示した.副甲状腺亜全摘出術の効果は顕著である.術前高値を示したPTHは急速に下降し,頑固な掻痒感,骨•関節痛は直ちに消失する.軟部組織への石灰沈着は数週で消失し, 骨の脱灰吸収像も数カ月で改善した.術後にみられた低Ca血症に対してはCa剤の静注と内服,およびVitamin D製剤(1α-OH-D3) の内服で治療した.
腎臓移植を行つた2症例は,いずれも5年間以上血液透析療法をうけ,顕著な副甲状腺機能亢進症を示した患者である. 1例は拒否反応なく移植腎機能は安定し,副甲状腺機能亢進症は全ての検査項目において一様に明らかな改善を示した.他の1例は1回軽度の拒否反応を示したが治療により回復して,その後良好で安定した移植腎機能を維持している.しかし血清ALP,PTHは正常化し,骨X線像も著しく改善しているのに,低P血症が中性燐投与にも効果なく持続している.PTHに無関係な移植腎尿細管障害による尿中燐漏出過多の可能性がある.
考察においては腎性副甲状腺機能亢進症の成因についての説明, 診断および内科的治療における問題点,副甲状腺手術における亜全摘出術と全摘出との比較,本症に対する腎臓移植の今後の問題点につき言及した.
キーワード
慢性腎不全, 副甲状腺機能亢進症, 副甲状腺亜全摘出術, 腎臓移植, 1α-OH-D3
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