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日外会誌. 81(8): 724-730, 1980


原著

早期胃癌手術の遠隔成績とその問題点

*) 東京医科歯科大学 医学部外科
**) 東京医科歯科大学 中検病理

竹下 公矢*) , 羽生 丕*) , 八重樫 寛治*) , 平山 廉三*) , 宮永 忠彦*) , 星 和夫*) , 毛受 松寿*) , 青木 望**)

(昭和54年11月20日受付)

I.内容要旨
過去18年間に切除された単発早期胃癌222例の術後遠隔成績と術後死亡22例について検討した. リンパ節廓清度(R)別各群の背景諸因子の頻度はR1で平均年齢が高く,R2以上で陥凹型が多いほかはとくに差は認められなかつた. R別10年累積生存率はR0 100%, R1 93.4%, R2以上98.6%で差は認められず,高齢者,poor risk例などにはR1以下の手術も考慮されうるものと考えられた. 他の諸因子別10年累積生存率に関しては,肉眼型では隆起型91.8%, 陥凹型98.8%, 深達度ではm 97,1%,sm 96,2%,n因子ではn0 97.3%,n1~2 (+) 87.4%,脈管侵襲では陰性99%,陽性88.6%といずれも有意の差はなかつた.ただし,組織型だけ分化型94.6%,低分化型100%と差を認めた(p<0.05).癌再発は3例あったが,すべてが隆起型,高分化型,脈管侵襲陽性例で占められ, 5年以内に死亡しており,再発形式はすべて肝転移が証明されたか,または疑われたものであった. 他臓器重複癌による死亡が5例と多く,これに対する術前,術後の十分な検索の必要性が示唆された.

キーワード
早期胃癌, リンパ節廓清度, 再発形式, 他臓器重複癌

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