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書誌情報]
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日外会誌. 81(2): 156-163, 1980
原著
小腸非上皮性腫瘍
-自験例21例を中心に-
I.内容要旨昭和38年から52年までの過去15年間に当教室で経験した小腸非上皮性腫瘍21例の臨床所見について検討した.その内訳は, 平滑筋腫3例,線維腫2例, 血管腫性ポリープ1例の良性胚瘍6例, 平滑筋肉腫7例,細網肉腫7例, リンパ肉腫1例の悪性腫瘍15例であつた.
性別では,良性腫瘍は男女同数であるが,悪性腫瘍では,男11例,女4例で男性に多かった.発生部位では,悪性腫瘍は下部小腸に好発し,特に悪性リンパ腫は大部分が回腸にみられたが,平滑筋肉腫は上部小腸に多くみられた.
小腸腫瘍に特有な症状は認められないが,腫瘤触知のほか,腸重積症や消化管瘻形成などの合併がみられた.
術前診断は,消化管造影,血管造影などが行なわれ,部位診断は約70%の症例になされているが,質的診断はそれよりも低率であつた.
切除率は,良性腫瘍では全例,悪性腫瘍では86.7%,根治切除例は平滑筋肉腫7例中4例,悪性リンパ腫8例中3例,計7例46.7%であつた.
平滑筋肉腫では, リンパ節転移はなく,肝,肺などの遠隔転移がみられた.一方,悪性リンパ腫では,遠隔転移はなかつたが, リンパ節転移,周囲臓器浸潤, Skip lesionがみられた.予後では,良性腫瘍は,縫合不全例1例を除き全例が生存,悪性例では手術死はなく, 1年以内に7例, 2年以内に8例が死亡したが,根治切除例では,再発死亡1例,消息不明1例を除き,術後2年6カ月ないし12年4カ月にわたり生存中である.
以上の自験成績に加えて,本邦10年間の小腸非上皮性腫瘍307例の報告例を集計し,併せて文献的統計的考察を行なつた.
キーワード
原発性小腸腫瘍, 悪性腫瘍, 良性腫瘍, 診断法, 遠隔成績
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