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日外会誌. 49(1): 100-126, 1948


宿題報告

脾臟の特殊機能に就て

大阪大學 醫學部第二外科敎室

淸 英夫

I.内容要旨
1. 生體内酸化還元系作用物質の1たるヴイタミンCの投與により,諸種酵素,例へばヒスタミナーゼ,オキシダーゼ,血淸アセチール,ヒョリン,エステラーゼ等の酵素作用は一過性の賦活作用を惹起す,面るにこの現象は脾臟並に網狀織内被細胞系と關連し,その異常狀態に準じてV.C.を投與するも全く表面的に無反應の如き,即ち陰性現象を示すのみならず,更には逆に却つて抑制と云ふ逆現象を呈す.このV.C.に依つて惹起される賦活と陰性と抑制の三現象を主流に置き脾臟の特殊機能を檢索し,併せて各種疾患,殊に外科的脾性疾患に對して觀察を試む.亦此の賦活,陰性抑制の三現象は生體の瓦斯新陳代謝的觀察に於ても同様な現象を呈す.(第1圓)
2. 脾臟を中心として抽出した作用的に拮抗性を有する二種の因子に就て述ぶ.その一つをR因子.他の一つをW因子と假稱す.R因子とは其の作用性質より例へば脾臟機能的には賦活現象に參畫し,血液的には造與血作用を有し,其の他積極的な性質を有する因子で積極的な燃える赤 red,Rotを想起してR因子と呼び,W因子とはR因子に拮抗して脾臟機能的には抑制現象に參畫し,血液學的には催貧血性を有する等消極的な冷い白 White,Weissを想起して W因子と假稱す.
3. W因子と癌との關連に就て述ぶ.

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