日外会誌. 43(9): 1275-1320, 1942

---

その他

氣管枝喘息ニ對スル胸部交感神經節切除手術ガ呼吸運動ニ及ボス影響ニ就テ

I．内容要旨
我ガ齋藤外科敎室ニ於テ戸田講師ハ氣管枝喘息ニ對シテ胸部交感神經節切除手術ヲ行ヒテ良好ナル結果ヲ得ツゝアリ．余ハ該手術ガ氣管枝喘息ノ呼吸運動ニ及ボス影響ニ就テ研究セリ．余ハ肋骨運動ニ就テハ石山，横山式「プイノモグラフ」ヲ應用シ横隔膜運動ニ就テハ「レ」線活動寫眞ヲ應用シテ，呼吸運動ノ研究方法トセリ．而シテ正常人，氣管枝喘息患者，及ビ氣管枝喘息ニ對シテ胸部交感神經節切除手術ヲ施シタル後，ノ三者ニ就テ同様ノ研究ヲ行ヒテ，ソノ研究成績ヲ比較檢討セリ．コノ際余ハ特ニ横隔膜運動ニ關スル「レ」線學的研究方法ノ通弊トモ言フベキ運動狀態ニ關スル立體的觀察ノ缺陷ヲ補フ目的ヲ以テ獨特ノ工夫ヲナシテ横隔膜運動ノ立體的概念ヲ得テ「レ」線像ノ觀察，批判ニ際シテ益スル所多カリキ．如上ノ研究ニヨリテ次ノ如キ結論ヲ得タリ．
氣管枝喘息患者ノ呼吸運動ハ發作時ニ於テハ勿論ナルモ，ソノ中間期ニ於テモ，肋骨運動卜共ニ横隔膜運動モ不規則亂雑ニシテ正常呼吸運動ニ比シテ著シク不安定ナルモノ多シ．然ルニ手術後ニ於テハ此ノ不安定性ハ著シク改善セラレ一般ニ正常呼吸運動ニ近似シ來タルヲ見ル．
一方余ハ横隔膜運動ニ就テ，ソノ呼吸餘カニ關シ正常人ノ場合卜比較セルニ，氣管枝喘息患者ニ於テハ一般ニ緊張性呼吸運動ヲ營ム事實ヲ知リタリ．即チ交感神經節切除ニヨリ氣節枝喘息ノ緊張性呼吸連動ガ緩和セラレテ正常人ノ呼吸運動ニ近似シ來ルモノナランカ．
或ハ又該手術ガ氣管枝喘息患者ノ呼吸困雖發作ニ對シテ良好ナル結果ヲ與フル事實ニ照シテ，他ニ有效ナル影響ヲ與へル爲ノ二次的現像ナルヤ否ヤノ點ニ就テハ尚究明ノ餘地アリ．

このページのトップへ戻る

---

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。