日外会誌. 41(12): 1526-1533, 1941

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その他

動物神經麻痹（一側性）ノ腦手術卜其治療的經過

I．内容要旨
余等ハ左側下腿ノ「モノプレギー」卜，右側動眼，三叉神經第一及第二枝領域ニ於ケル麻痺性障碍ヲ有スル1例ニ於テ，鑑別診斷上竝ビニ局所診斷上ノ所見ニ基ヅキテ穿顱術ヲ施行セリ． 先ヅウェーベル氏交叉麻痺，Dejerine 氏腦脚出血，後交通動脈ノ動脈瘤及ビ Migraine ophthalmoplegique Charcot ト鑑別シ，右側上眼嵩裂綠邊ノ粗造面ト微細ナル破壤像トニ依リ手術ノ適應ヲ樹テタリ．術式ハfrontotemporale Trepanation ヲ用フ．
手術所見次ノ如シ．即チ視神經交叉部ハ限局性ノ蜘蛛膜炎ヲ呈シ，動眼神經ハ硬膜出入部ニ於テ細キ索狀ノ癒著ヲ示シタリ．三叉神經ハ其第一及第二枝ノ神經節前域ニ於テ固有ノ光澤ヲ失ヒ且癒著ヲ呈シテキタリ．ヨツテ注意深ク上述ノ「ノイロン」幹ノ剥離ヲ行ヘリ．術後1ヶ月ノ經過ヲ次ニ摘記セン．
1. 罹患セル三叉神經領域ノ角膜及皮膚ノ知覚障碍ハ殆ンド治癒セリ.
2. 麻痺セル上眼瞼ノ擧上及閉鎖竝ビニ當該眼球ノ内轉機能ハ恢復ノ兆ヲ示スモ，唯垂直運動ノ恢復ハ猶未ダシノ感アリ．
カクテ術後ノ效果梢ゝ満足スベキモノアリ．惟フニ穿顱術施行ニ際シ其頭蓋内容ヲ外氣ニ接觸セシムル事自身既ニ neurostimulierend ノ作用ヲ現シ，依以治療的意義ヲ呈示スルモノノ如シ．本例ノ既往症ニ徴スルニ右眼麻痺（眼球固定．上眼瞼下垂）及ビ左側下腿「モノプレギー」ハ3歳ノ時ニ始マリタリ．其症狀ヲ檢討スル時ハ徽毒性又結核性或ヒハ「ヴィールス」性ノ慢性炎症性「ノクセ」ガ數年ニ亙リ存在シ，徐々ニ腦神經ノ癒著ヲ來シタルモノシナルベ．本例ニ於テワ氏，ピルケ氏及ビマントー氏反應ノ各々ガ陰性ヲ示シタリ.

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