日外会誌. 40(9): 1658-1728, 1939

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その他

肺動脈ノ「レ」線學的研究
第四報　肺動脈ノ神經支配ニ就テノ實驗的竝ビニ臨牀的研究

I．内容要旨
抑モ肺血管運動神經ニ就テハ第19世紀末ヨリ多クノ學者ニ依リ研究サレ，其ノ業績ハ枚擧ニ遑ナキ狀態ナルモ，其ノ説ノ一致ヲ見ザルハ遺憾トスル所ナリ．
余ハ余等ノ生體肺動脈撮影法ヲ應用シテ肺動脈ノ神經支配ノ研究ニ志シ，生理學的・藥理學的檢索ヲ行ヒタリ．
先ヅ諸種ノ藥物（自律神經毒）ノ肺動脈ニ及ボス影響ヲ研究シ，「ボスミン」，「アトロピン」ニ依リ擴張ヲ，「ピロカルピン」ニ依リ輕度ナル縮小ヲ，「ヒスタミン」ニ依リ著明ナル縮小ヲ見タリ．
次ニ諸種ノ神經ノ肺動脈ニ及ボス影響ヲ研究シ，頸胸部交感神經節ノ剌戟ニ依リ縮小シ切除ニ依リ擴張シ，迷走神經ヲ頸部ニ於テ剌戟スルモ切斷スルモ殆ンド變化ヲ見ズ，脊髄神經ノ後根刺戟ニ依リ擴張シ切斷ニ依リ輕度ノ收縮ヲ爲スヲ見タリ．尚横隔膜神經ノ捻除ニ依リ肺動脈ハ短縮縮小スルヲ知レリ．
玆ニ於テハ余ハ藥物應用ノ成績ハ體循環ノ二次的影響ナリト思考シ，肺動脈ノ血管收縮神經ハ交感神經ニシテ其ノ作用ハ末梢體循環ニ比シテ徴弱ナルベク，肺動脈ノ血管擴張神經ハ副交感神經ナルモ之ヲ迷走神經二求ムルハ困難ニシテ，脊髄神經ノ後根ニ求ムベキナリト思惟セリ．

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