日外会誌. 40(7): 1454-1469, 1939

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その他

上皮小體機能ニ關スル實驗的研究
第二篇　上皮小體摘出家兎ノ筋「クロナキシー」ニ及ボス影響ニ就テ

I．内容要旨
神經・筋肉ノ電氣興奮性ノ診斷ニ從來平流電氣或ハ感應電流等ノ方法行ハレシガ，近時 L.L.apique ノ「クロナキシー」法熾ンニ試ミラル，然レ共「クロナキシー」ノ純生理學的意義ニ關シテハ未ダ闡明セラレタルモノニ非ズ，「クロナキシー」ノ實驗式ハ數字的歸納論ニ基ケルモノナルガ故，臨牀的或ハ實驗的ニ之ヲ應用シテソノ妥當性ヲ缺ク場合屢々アルモノノ如シ．
「テタニー」症患者，或ハ動物ノ上皮小體摘出後ソノ神經・筋肉ノ興奮性ノ亢進スルハ臨牀的ニモ實驗的ニモ既ニ一般ノ目認スル事實ナリ，サレバ此ノ際「クロナキシー」値ハ「クロナキシー」ノ概念ヨリ考フル時ハ當然著明ナル減少ヲ豫期シ得ルニ拘ラズ事實ハ然ラズ．卽チ文獻ニ據レバ「クロナキシー」値ハ增加ス卜報ズルモノ（Bourguignon, Blummenfeldt, Knorre, Reiners, J. Weiser，關，佐々木，塚越，今井氏等），增加ノ傾向ヲ認メズト云フモノ（河上氏），增・減不定ナリトスルモノ（Gyorgy u. Stein, Turpin, Bourguignon等）等アレ共，明ラカニ減少ヲ示ストノ報告ニ余ハ未ダ接セズ，然カモ之ガ成績ニ對シ首肯シ得ル具體的説明ナク，隨ツテ是等報告モ不可解ナル事實トシテ再考セザルベカラザルノ感アリ．
余亦上皮小體機能ノ研究ノ一端トシテ家兎上皮小體摘出後ノ神經・筋肉ノ「クロナキシー」値ヲ測定セシニ「レオバーゼ」ハ各例ニ於テ恒ニ低下スルヲ認メシモ「クロナキシー」値ハ明ラカニ減少ヲ示セシモノ無ク一般ニハ增加延長シ，特ニ著明ナル增加ヲナセルモノ等アリテソノ影響一律ナラズ，且ツ「レオバーゼ」ト「クロナキシー」トノ間ニ何等ノ認ムベキ關聯ナク動揺スルノ成績ヲ得テ，先人ノ經驗セシ如ク，從來ノ「クロナキシー」法ノミニ依リテハ家兎上皮小體摘出後ノ電氣興奮性ノ消長ヲ推知説明スルコト能ハザリキ．
然レ共余ハ更ニ「クロナキシーメーター」ヲ用ヒ電壓ヲ變化シ同一刺戟點ニ於テ最小ノ攣縮ヲ起スニ足ル蓄電氣容量ヲ求メ，之ヲ電壓容量作曲線トシテ筋攣縮ノ電壓容量相互關係ヲ「グラフ」ニ描キ上皮小體摘出前後ノ日次的變化消長ヲ觀察セシニ，明ラカニ臨牀的所見ニ一致平行シテ家兎上皮小體摘出ニ因ル神經筋肉ノ電氣興奮性亢進ヲ實證シ得タリ．

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