日外会誌. 40(7): 1428-1438, 1939

---

その他

上皮小體摘出術ヲ試ミタル進行性筋萎縮症ノ一例

I．内容要旨
余ハ靑年性型進行性筋萎縮症（25歳，男子）ノ1例ヲ治療スルノ機會ヲ得，余ガ曾テ河石助敎授（現嚢北帝大醫學部敎授）ト共ニ報告セル「筋無力症ニ對スル上皮小體摘出療法ニ就テ」ノ經驗及ビ現在余ガ追究中ノ「上皮小體機能ノ實驗的研究」ノ成績及ビ渉獵セル内外文獻ヨリ推シテ，本症ニ對シ Hypoparathyreoidismヲ目的トシテ上皮小體一部摘出術ヲ試ミ良好ナル成果ヲ收メタリ．
進行性筋萎縮症ハ自家例竝ニ文獻例ニ就キテ考察スルニ，呉敎室ノ研究ニヨレバ筋ノ自律神經支配殊ニ交感神經ノ障碍ニヨリテ惹起サルルモノナリト云ハルルモ，内分泌腺ノ機能モ亦考慮スベキモノナリ，特ニ上皮小體及ビ甲狀腺ノ機能ハ看過スベカラザルモノナリト信ズ.
療法トシテ本症ハ單ニ内科的對症的治療ノミニ委ヌルコトナク進ンデ外科的治療ヲモ施スベキモノナルコトヲ提唱ス，卽チ若シ本症ニ甲狀腺機能亢進ヲ認メシ場合ニハ甲狀腺切除術ヲ施シ且ツ血中Ca量增加アル場合ニハ上皮小體一部摘出ヲモ試ミルベク，甲狀腺機能亢進ヲ證明セザル場合ニハ上皮小體一部摘出術ヲ施ス，且ツ執レノ場合ニアリテモ之ニ從來ノ内科的療法，庇護療法ヲ併用セバ最モ效果的ナリト信ズ.

---

---

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。