日外会誌. 40(6): 1245-1278, 1939

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その他

仰臥位腹部「レ」線側面像（水平方向撮影）ノ價値

I．内容要旨
仰臥位ニアル患者ニ於テ其ノママ腹部側面ヨリ水平方向ニ「レ」線ヲ放射シテ單純撮影ヲ行ヘバ「フイルム」上ニ腹部ノ側面像ガ投影サレル．之ヲ判續シテ臨牀上種々有力ナル所見ヲ得ル.
腹部「レ」線診斷法ノウチ本法ニヨレバ患者ニ負荷ヲ與ヘルコト甚ダ少ク臨床技術上最モ簡便デアリ而モ甚ダ如實ニ腹腔内ノ重要ナル所見ガ表現サレルモノデアル．故ニ本法ノ價値ハ頗ル大デアツテ臨牀上普ク應用サルベキモノト信ズル.
仰臥位側面像ニ依ツテハ特ニ腹膜腔内及ビ消化管内ノ瓦斯體及ビ液體ノ狀況ヲ正確淸細ニ觀察出來ルノデアツテ，瓦斯體ハ腸管内或ヒハ腸管外ノ空所ヲ満シテ特徴アル影像ヲ與へ液體ハ腸管内或ヒハ腸管外ニ在ツテ水平面ニヨルー線トシテ現レ明確ニソノ存在竝ニ所在ヲ示シ，疾病診斷上頗ル有力ナル指針トナルモノデアル．余ノ實驗ニ於テハ腹膜腔内ニ存スル極メテ徴量ノ瓦斯體（5竓）或ヒハ腹膜腔内ニ存スル比較的少量ノ液體（300竓）ヲ碓實ニ證明シ得タ．
本論文ニ於テハ先ヅ正常ノ場合ノ仰臥位側面像ニ關シテ檢査ヲ行ヒ，之ヲ規準トシ，次ニ病的變化ノ人體ニ於ケル模造及ビ動物實験ヲ行ヒ其ノ結果ヲ参照トシ次デ手術ニヨリ診斷ヲ確定スルコトノ出來タ種々ナル疾患ノ臨牀例ヲ記述シテ仰臥位側面像ノ臨牀的價値ヲ明カニシタ．
本方法ニヨリ診斷上有力ナル所見ヲ得テ臨牀上ノ應用ヲ見タル疾患ハ今日マデノ余ノ經驗ニヨレバ，外傷性脳管皮下破裂，其他胃腸穿孔ニヨル汎發性腹膜炎，限局性腹膜炎，腸閉塞症，慢性滲出性腹膜炎，急性胃膨満症，呑氣症，慢性胃擴張，鼓腸竝ビニ慢性便泌症，餓餓狀態，循環器，腎臟， 肝臟ノ機能障碍ニ因ル腹水，婦人内生殖器腫瘤等デアル.

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