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日外会誌. 120(3): 318-323, 2019


特集

外傷外科を取り巻く最新のトピックス

8.横浜市重症外傷センターと外傷システム

済生会横浜市東部病院横浜市重症外傷センター 

北野 光秀

内容要旨
外傷システムの中でも,重症外傷患者の救命率を上げるためには,外傷センターおよびそこに患者を集中させる病院前救護が重要な位置を占める.横浜市は,日本外傷学会提言を基に基準を定め,当院を含め2施設を重症外傷センターとして指定した.その基準は,1.外傷外科医の常駐と5分以内にERに到着:外傷外科医の定義はないが単に一般外科医をさすものではなく,当院では外傷手術20例以上の術者とした.2.外傷コールと外傷チーム:当院の外傷コールの適応として,救急隊の情報で,①JCS≧10,②sBP<90mmHg,③脈拍数≧120または<60,④呼吸数≧30回/分または<10.外傷コールがかかると,医師4名,看護師3名の外傷チームが形成.3.30分以内に緊急手術を開始:重症ショックなどで緊急開腹が必要な症例で手術室が間に合わない場合,ERの初期診療室で手術を施行.もちろん手術はダメージコントロール手術である.4.脳神経外科医,整形外科医,麻酔科医など,常駐または30分以内に診療に参加.本邦の外傷患者の救急搬送では第1段階のバイタルサインの異常,第2段階の致命的外傷に当てはまる外傷患者は救命救急センターに搬送される.一方,横浜市システムでは,市内4区内消防が扱う事案のうち,受傷機転を含めて外傷ロード&ゴー症例を全例当院へ集中搬送している.外傷センター選定で搬送される患者数は月24件に増加したが,1/3の症例は帰宅可能の軽症例であった.

キーワード
外傷センター, 外傷システム


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