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日外会誌. 93(6): 646-650, 1992


原著

神経芽腫治療におけるMRI(Magnetic Resonance Imaging)の有用性

千葉大学 医学部小児外科

大沼 直躬 , 高橋 英世 , 田辺 政裕 , 吉田 英生 , 岩井 潤 , 東本 恭幸 , 新保 和広

(1991年3月14日受付)

I.内容要旨
1984年4月より1989年12月までMRIを施行した神経芽腫症例は36例で,うち29例に以下の3項目につき検討した.
1) MRIによる腫瘤と周囲組織(肝臓,腎臓,脊髄,大動脈・大静脈,腫瘤に接した臓器の支配血管)のintensityの差による判別の程度.
2)腫瘤の同定, リンパ節腫大の同定,腎温存の予測におけるMRIとX線CTの比較.
3)骨髄転移巣の治療効果判定におけるMRIの有用性.
その結果,次の結論を得た.
1)腫瘤と周囲組織の境界判別は,腎とはやや困難な症例もあり,副腎原発では53%,後腹膜原発では67%しか区別できなかった. しかし,肝および血管とは全例容易に判別できた.
2)腫瘤の同定では,62%の症例でMRIがX線CTに比しすぐれていた.
3) リンパ節腫大の同定ではN0やN1ついてはMRI とX線CTとでほぽ同じ評価であったが,N2ではcoronal像で判断可能なMRIが有利であった.
4)腎温存の予測は腎血管と腫瘤の関係が明瞭にわかる点でMRIがX線CTにまさっていた.腹部原発神経芽腫24例中MRIは15例の, X線CTでは6例の腎温存を予測し,手術では17例の温存が可能であった.
5) 16例の骨髄転移症例の治療経過中定期的にMRIを施行し, 3例で骨髄転移治癒と判定したが,1例はその後骨髄転移の再燃をみた.

キーワード
神経芽腫, MRI, 腎温存, 骨髄転移


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