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日外会誌. 100(10): 663-666, 1999


特集

ショックを見直す

6.組織酸素代謝からみたショックの病態と治療

獨協医科大学 第2麻酔科

崎尾 秀彰 , 大津 敏 , 上野 和徳

I.内容要旨
病態に差異はあってもショックになると全身への十分な酸素供給が維持できなくなり,供給量依存性の酸素消費から組織低酸素になる.指標には酸素供給量/酸素消費量,血中乳酸濃度,動一静脈血PCO2較差があるが,組織低酸素の早期検出には不適である.消化管粘膜酸素化は対向流交換によるため,組織低酸素は全身よりも容易に出現し,腸内細菌の全身循環への侵入や高サイトカイン血症の原因ともなり得る.非侵襲的かつ間接的測定法として消化管壁内pHが考案されたが,最近では感度・特異度の優れた消化管壁内と動脈血のPCO2較差が注目されている.治療薬としてはdobutamineが有効である. angiotensin変換酵素阻害薬などについては今後の研究に期待がかかる.そのほか,膠質液は組織酸素代謝を改善させるが,保存期間の長い輸血ほど微小血管血流を悪化させる危険性がある。

キーワード
組織酸素代謝, 消化管粘膜低酸素, 胃壁PCO2(PiCO2), dobutamine

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