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日外会誌. 99(11): 789-793, 1998


総説

大動脈弁置換術における機械弁・ステント生体弁・ステントレス生体弁・ホモグラフトの「選択基準」

埼玉医科大学 第1外科

小柳 俊哉

I.内容要旨
長期耐久性と抗血栓療法との兼ね合いから年齢因子を考慮して,70歳以上(最近では72,3歳)の患者にはステント生体弁を,70歳未満の患者には機械弁を選択する.30歳未満ではホモグラフトも考慮する.弁サイズの大きなbovine弁では構造的劣化が早期に起きやすいことから弁輪径が25mm以上の場合はHancock II弁,19~23mmの場合はMitroflow弁を選択する.70歳以上でも慢性心房細動例や血栓塞栓症の既往のある患者には抗血栓療法の必要性から機械弁を選択する.大動脈基部及び弁輪拡大術,僧帽弁置換術及び冠状動脈バイパス術併施例では基本的には機械弁の選択が好ましい.70歳未満でもワーファリン禁忌,服用困難な患者,妊娠出産希望の女性に対してはステント生体弁を第一選択とし,ホモグラフトやステントレス生体弁の適応も考慮する.再弁置換術症例では生体弁の構造的劣化による場合でも年齢基準に従い,血栓機械弁の場合には生体弁を選択する.高度低心機能で将来補助人工心臓装着の可能性がある症例に対してはステント生体弁を選択する.

キーワード
大動脈弁置換術, 代用弁選択, ホモグラフト

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