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日外会誌. 99(11): 781-788, 1998


特集

臓器移植の今後の展望

9.臓器移植ネットワークの役割

1) 日本臓器移植ネットワーク理事, 関東甲信越ブロック事務局長
2) 日本臓器移植ネットワーク理事, 関東甲信越ブロックセンター長
3) 日本臓器移植ネットワーク理事, 北海道ブロックセンター長
4) 日本臓器移植ネットワーク理事, 東北ブロックセンター長
5) 日本臓器移植ネットワーク副理事長, 東海北陸ブロックセンター長
6) 日本臓器移植ネットワーク理事, 近畿ブロックセンター長
7) 日本臓器移植ネットワーク理事, 中国四国ブロックセンター長
8) 日本臓器移植ネットワーク理事, 九州沖縄ブロックセンター長
9) 日本臓器移植ネットワーク沖縄サブセンター長 
10) 日本臓器移植ネットワーク副理事長, 日本移植学会理事長

寺岡 慧1) , 黒川 清2) , 水戸 廸郎3) , 吉永 馨4) , 井形 昭弘5) , 園田 孝夫6) , 折田 薫三7) , 藤見 惺8) , 石川 清治9) , 野本 亀久雄10)

I.内容要旨
臓器移植ネットワーク(NW)の役割は,臓器提供および移植医療の啓発普及と,善意によって提供された臓器の公平・公正かつ迅速な配分である.またその原則は,広域ネットワーク,多臓器対応,中立の第三者機関による:運営,全国統一基準による公平・公正かつ迅速な臓器の配分,情報の公開などである.1995年4月,日本腎臓移植NWが発足し,1997年10月臓器臓器の移植に関する法律(臓器移植法)の施行に伴い多臓器対応の日本臓器移植NWに改組された.
その組織は移植コーディネーター,内科医,移植医,腎バンク,都道府県行政,学識経験者,各種団体等で構成され,専門的事項は各種委員会で協議の上決定され,重要事項は理事会,総会の議決を経て決定される.また実施された移植は全て当該ブロックの地域評価委員会で評価検討され,問題事例は中央評価委員会で検討される.さらに社会的に問題となった事例については,審査委員会で審査される.移植希望者を登録するコンピューターシステムは一新され,登録者データは毎年更新され,最新のデータに基づいてレシピエント検索が行われる.また従来長年にわたって懸案であったHLA検査のための全国共通トレイが作成され,1997年以来class IIについてはDNAタイピングが導入され,より精度の高いデータに基づいて検索が行われるようになった.今後は移植医療の適正かつ円滑な定着を図るべく,移植コーディネーターの育成及び資質の向上と,意志表示カードのより広汎かつ実効的な配布を行ってゆくことが課題である.

キーワード
臓器移植, 移植ネットワーク, 臓器移植法, 臓器提供, 意思表示カード

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