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日外会誌. 99(10): 717-721, 1998


特集

胆嚢癌治療-最近の動向

6.胆嚢癌に対する肝膵同時切除(HPD)の適応と治療成績

1) 都立荏原病院 外科
2) 東京女子医科大学 消化器外科

吉川 達也1) , 太田 岳洋2) , 新井田 達雄2) , 吾妻 司2) , 高崎 健2)

I.内容要旨
HPDは,現在では進行胆嚢癌の標準術式の一つとなりつつあるが,その適応に関しては未だ論議が多い.特にリンパ節郭清を目的としたPDの必要性に関しては,PDなしでも膵頭部周囲の郭清は十分に可能であるとする意見もある.しかし教室では切除標本の詳細な検討から,膵頭部を温存した場合には周囲に小リンパ節や,リンパ管が遺残し癌細胞を取り残す危険性があることを指摘してきた.このため2群以上のリンパ節転移が高率とされる条件,すなわち深達度ssで明らかなリンパ節転移陽性例や,占拠部位がGfb2領域にまたがるか,Gnにかかるもの,深達度se, siではリンパ節転移の有無,占拠部位にかかわらず全例をHPDの適応としてきた.教室におけるHPDの手術成績を,肝切除+D2郭清(HR)例と比較してみると,直接成績では(拡大)肝葉切除+PDにおける高率な術後合併症,手術直接死亡が問題であった.しかしPTPEの導入や周術期管理の進歩に伴い成績は向上している.一方,遠隔成績は全体ではHPDとHRに差はみられなかったが,n(+)binf(一)例では有意にHPDの予後が良好であり, PDの膵頭部周囲リンパ節郭清に対する意義が認められた.しかしbinf(+)例においてはHPDはHRと差がなかった.今後はbinf(+)に対しては拡大手術の安全性を高める工夫や,他の有効な新しい治療法の開発が検討課題である

キーワード
胆嚢癌, 肝膵同時切除の適応, 肝膵同時切除の手術成績

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