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日外会誌. 99(10): 696-699, 1998
特集
胆嚢癌治療-最近の動向
2.胆嚢癌の壁深達度診断-EUS-
I.内容要旨超音波内視鏡検査(EUS)による胆嚢癌の進展度診断の現況と診断精度からみた治療方針について検討した.対象は術前にEUSを行った胆嚢癌69例で,年齢は平均63.3歳(28~85歳),男女比は1:22であった.病理組織診断による壁深達度はm癌17例,pm癌5例,ss癌21例, se癌14例, si癌12例であった. EUSによる診断率を検討するとともに,早期癌15例と早期癌類似進行癌19例について,肉眼形態別に深達度診断の診断率を検討した.EUSによる病変描出率は69例中63例(91.3%)と高かった.早期癌と早期癌類似進行癌の肉眼形態はIp型6例, Is型21例, Ila型7例であった.Ip型癌はすべてIlb病変を伴わっておらず,また,すべて深達度mであり,EUSにて全例診断可能であった.Is型は12例(57.1%),Ila型は6例(85.7%)においてIlbなどの随伴病変を伴っていた.またIs型の深達度正診率は85.7%, Ila型の正診率は71.4%であった.EUSによる壁深達度診断における有用性を考慮に入れた胆嚢癌の治療方針について以下の結論を得た.すなわち,EUSによりIp型と診断できた症例では深達度はm,随伴病変無しと診断してよく,腹腔鏡下胆嚢摘出術による単純胆摘術でもよいと考えられた.Is型, IIa型では随伴病変を伴っている可能性が高く,また,Ila型では正診率が比較的低いことから開腹下でリンパ節郭清を含めた手術を十分考慮する必要がある.
キーワード
胆嚢癌, 超音波内視鏡検査, 進展度診断, 腹部超音波検査, 胆嚢隆起性病変
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