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日外会誌. 99(9): 564-568, 1998


特集

噴門部癌 : 診断と治療の進歩

6.噴門部癌のEUS診断

1) 東京女子医科大学 消化器内視鏡科
2) 東京女子医科大学 消化器外科

村田 洋子1) , 小熊 英俊2) , 喜多村 陽一2) , 井手 博子2) , 鈴木 茂1) , 高崎 健2)

I.内容要旨
噴門部癌の治療を選択する場合,重要な因子として癌の深達度診断,食道への浸潤の有無,リンパ節転移診断とくに縦隔内転移の有無がある.今回教室で経験した121例を中心に報告した.深達度診断は,潰瘍合併例以外は,破壊された最外層をもって深達度診断を行った.正診率はm癌で60%,sm癌で83%, mp~ssで50%,seで86%, siで45%で,計77%であった.食道浸潤では,右横隔膜脚より口側に腫瘍を認めた場合を浸潤陽性とすると,sensitivity 98%,specificity 93%,overall accuracy 94%であった.他の診断と比較すると内視鏡ではsensitivity 86%,specificity 90%,overall accuracy 89%,上部X線検査では,sensitivity 85%,specificity 88% overall accuracy 87%であり,EUSは,sensitivity, overall accuracyにおいて最も高い値であった.リンパ節転移診断は,EUSにて5mm以上の類円形で境界明瞭,内部低エコーまたは不均一なエコースポットを有するものを転移陽性とすると,正診率はn0は78%,n1は86%,n2は72%であった.縦隔内転移1例は術前に指摘可能であった.今後,false positiveに関しては,超音波下リンパ節生検などの試みなどが必要であろう,また3D表示により食道浸潤診断の成績はさらに向上すると考えられた.

キーワード
噴門部癌, 超音波内視鏡, 深達度診断, リンパ節転移診断

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