[書誌情報] [全文PDF] (2818KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 99(2): 105-109, 1998


特集

心臓再手術の現況

10.冠状動脈再バイパス手術

順天堂大学 医学部胸部外科

細田 泰之 , 高沢 賢次

I.内容要旨
当施設では1984年1月から1997年8月までに24例の再手術を経験した.これは全CABG1,832例の1.3%に相当した.男性23例,女性1例,初回手術時の年齢は平均51.1±7.0歳(32~62歳),平均バイパス本数は全CABG平均2.5±0.7より少なく.1.96±0.7本であった.初回手術時LITAを使用していた症例は2例あり,それぞれLAD,対角枝に対して行われていた.それ以外の22例はSVGのみによる血行再建であった.再手術までの期間は平均10.18±3.35年(3カ月~19年),全体の91.7%にあたる22例は初回手術後5年以上の遠隔期の症例であった.再手術時の年齢は平均60.7±8.0歳(45~81歳)であった.全例LADグラフトの閉塞あるいは狭窄症例であった.初期の症例を除いて,少なくとも1本の動脈グラフトを使用した結果,LITAを18例に,RITAを1例に, GEAを2例に使用し,動脈グラフト使用率は83.3%で,平均バイパス本数は1.96±0.67本であった.術後30日以内の手術死亡はなし.在院死亡は呼吸不全によるstroke 1例, MRSA感染1例であった.vein graft disease, ITAの良好な長期開存性を考えると,再手術においてITAを含めた動脈グラフトの使用は特にLADに対しては必須であり,剥離操作中に血行動態が不安定化し体外循環を開始したのちでも動脈グラフトを採取し使用に努めるべきであると考える.

キーワード
再冠状動脈バイパス術, 動脈グラフト, LAD完全閉塞, vein graft disease

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。