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日外会誌. 98(9): 751-754, 1997
特集
進行度を配慮した食道癌外科治療
Ⅲ.術前リンパ節転移状況を配慮したT2,T3症例の合理的リンパ節郭清
3.上縦隔リンパ節陰性胸部下部食道癌(Ei)のリンパ節郭清
I.内容要旨Ei自験例の転移形式及び再発形式より郭清を重要視する部位,縮小可能な部位を検討した.術前未治療のEi, T
2(mp), T
3(a
1-a
2)58例中41例(70.7%)にリンパ節転移を認めた.3領域郭清23例中5例(21.9%)に頸部転移を認めるも,EiIm, Eiであり,EiEaにはない.頸部のみの転移例はなく,他の領域にも転移があった.
術前上縦隔リンパ節転移の有無をEUS(超音波内視鏡),CTの両者が行われた胸部食道癌220例を対象にその信頼性を検討した.転移陽性の正診率は,EUS 61.4%,CT 63.5%であり,EUS, CT共転移陰性とした126例中11例(8.7%)が偽陰性であり,EUS, CTにより上縦隔転移は把握できる.再発形式は,肝,肺,骨等の血行転移が高率に認めるも,リンパ行性と考えられる胸膜,腹膜再発も多く,現行の郭清では不充分で,合併療法が必要である.
上縦隔徹底郭清は術後合併症を併発しやすいが,1989年より私達が行っている術中照射に術後照射を加えた103例では現在まで上縦隔再発がない.術前検査で上縦隔転移陰性あるいはEiEa症例は,他の部位も転移陰性ならば頸部への単独転移は稀であり,胸腔内より101の部までの郭清でよい.術前腹部リンパ節転移が強く疑われたならば開腹を先行し,CI以上の根治性が望めない例には頸部上縦隔郭清は行わない.
キーワード
食道癌, リンパ節転移, 頸部上縦隔転移, 再発形式, 術中照射
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