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日外会誌. 98(9): 742-746, 1997
特集
進行度を配慮した食道癌外科治療
Ⅲ.術前リンパ節転移状況を配慮したT2,T3症例の合理的リンパ節郭清
1.頸部リンパ節陽性胸部中部食道癌(Im)のリンパ節郭清
I.内容要旨頸部リンパ節転移陽性と術前診断された胸部中部食道(lm)のT2, T3症例(深達度:mp~a
2)に対する合理的リンパ節郭清につき,切除例のリンパ節転移状況・遠隔成績および再発形式をもとに検討した.
Im・T2,T3症例は,根治手術の対象となる胸部食道癌の中で最も大きな割合を占めている.頸部リンパ節転移はこのグループの27.4%に認め,うち頸部のみの転移は17.2%,頸部を含む2領域転移および3領域転移はともに41.4%であった.手術時の転移部位および再発部位の検討から,通常の3領域郭清において省略が可能な部位は,上深頸リンパ節(No.102の一部),気管前リンパ節(No.106の一部)および腹腔動脈周囲(No.9)以遠の腹部リンパ節などであり,更にリンパ節郭清の精度を高める必要があるのは,完全郭清が困難な両側反回神経に沿うリンパ節(特に頸胸境界部および反回部)である.
C-1以上の切除耐術例において,頸部リンパ節転移23例の3年・5年生存率は順に37.3%および33.0%であり,2領域以下の転移13例の5年生存率が51.9%と比較的良好であるのに対し,3領域転移10例の5年生存率は10.0%と不良であった.
頸部・胸部および腹部に分布するリンパ節転移,およびリンパ節郭清の効果を考慮すると,頸部リンパ節転移を有するIm・T2,T3症例は3領域郭清の絶対的適応であると思われる.
キーワード
胸部食道癌, 頸部リンパ節転移, リンパ節郭清, 3領域郭清, 合理的郭清
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