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日外会誌. 98(7): 588-591, 1997


特集

膵癌治療の変遷

2.膵癌治療の成績-統計的推移

1) 神戸大学 医学部第1外科
2) 大阪府済生会中津病院 

大橋 修1) , 山本 正博1) , 石田 英文1) , 藤原 英利1) , 長谷川 恭久1) , 斎藤 洋一2)

I.内容要旨
日本膵臓学会膵癌登録委員会により1981年1月から1995年までに集計された症例は17,121例である.1981年から1990年を前半期,1991年から1995年を後半期として検討すると,TS1の占める割合は低いものの前半期5.7%から後半期8.1%に増加し,一方TS4は40.3%から27.4%に減少している.登録症例のうち切除例は6,187例であり,切除率は36.1%であった.前半期と後半期において切除率は33.1%から42.1%と増加し,1995年度では44.5%を占めるに至っている.切除の種類において,TPは年々減少傾向にありPDは増加しているが,一方TS1でも既に周辺リンパ節に転移している頻度は37.0%あり,腫瘍の大きさ以上に進展している可能性が大きいためリンパ節郭清はD2 45.1%と積極的に行われている.また門脈合併切除例は前半期18.5%から後半期21.0%になり,年々増加する傾向にある.切除例における組織学的分類において,大多数を占める管状腺癌は切除例全体の60.6%で,累積生存率は10%前後であり極めて不良である.NCDBの解析によると,登録症例17,490例の切除率は14.2%であり,膵癌(切除例)における生存率は,1年で49.8%,3年で16.8%,5年で9.6%と本邦における生存率とほぼ合致している.しかし日本全国集計の切除率は36.1%であり,とくにStage IV症例の切除率は米国の8.0%に比較して30.9%と高く患者背景の違いが伺われ,生存率において単純に比較できないと思われた.

キーワード
全国膵癌登録, 膵癌, 拡大手術, 集学的治療法, リンパ節郭清

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