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日外会誌. 98(6): 532-536, 1997


特集

胃切除後再建術-特にpouch形成の意義-

2.胃全摘後の空腸pouch間置再建術
-その手技と術後成績について-

関西医科大学 第2外科

中根 恭司 , 明平 圭司 , 佐藤 睦哉 , 奥村 俊一郎 , 山道 啓吾 , 岡村 成雄 , 日置 紘士郎

I.内容要旨
教室では1988年11月より70歳未満で術中Stage IVを除く胃癌症例に対し,胃全摘後のQOLの向上を目指して空腸pouchを用いた再建術式を採用し,1)従来のRoux-Y(RY),2)pouch・R-Y(PR)および3)pouch・interposition(PI)法の3群を設定し, randomized controlled studyにてその有用性を検討してきた.PR法は術後愁訴,食事摂取量,術後体重,各種栄養指標,代用胃RI排出能等からみて極めて有効な術式であり,pouch造設による有用性が示唆された.しかしPI法は生理的ルートであるにもかかわらず,つかえ感が強くQOLは不良であった.
そこでPI法につき①空腸導管の長さを20cmから10cmに短縮し,②更に約10cmの空腸を犠牲にし,間置空腸腸間膜を出来るだけ広く残し,血行・神経支配を最大限温存するなどの改良を加えた.
1993年2月よりこの再建術式を13例に施行した.食事摂取量については,健康時の80%以上摂取可能例は,術後3,6,12,24カ月で,25,55,89,100%となり,変更前のPI法(0,33,33,33%)に比して極めて良好であった.
術後体重は,変更前では術後2年で健康時の81%と低値であったが,変更後では89%と回復傾向がみられた.pouch内のRI停滞率をみると,貯留能の点では変更前に較べて劣っていたが,排出能は良好であった.また排出が遅延する例では食後のつかえ感や膨満感の訴えとよく一致しており,今回の症例では上記愁訴の頻度は極めて低率であった.
これらの結果はPR法にほぼ匹敵する好成績であり,現在PR法との問でrandomized studyが進行中である.

キーワード
胃癌, 胃全摘後の再建, 空腸pouch問置再建術, 術後のQOL

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