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日外会誌. 97(12): 1066-1071, 1996
特集
外科周術期重症感染症の現状と対策
7.原因菌不明の外科感染症
I.内容要旨外科周術期における感染症で原因菌が特定できない場合の対策について,8年間に施行した消化器癌手術の術後に検出した菌を解析した結果から考察した.
まず,手術の部位を考える.食道癌術後には呼吸器感染のほか,創感染やカテーテル感染の発症が多く,胃癌・肝胆膵癌・大腸癌の術後には腹腔内感染が多い.消化器癌の術中・術後には,肝腎毒性の少ない抗菌薬としてセフェム系薬剤を先行投与しているであろうから,いずれの部位の感染でも,その抗菌スペクトラム外のMRSA,
E. faecalis,
P. aeruginosa,真菌が,高い頻度で検出される.
次に感染巣の部位を考察する.術後呼吸器感染の検出菌は
P. aeruginosa,創感染では
E. faecalis,腹腔内感染では
E. faecalisと
P. aeruginosaが多い.
すなわち,原因菌の同定ができない時期は,術後管理において最も大切な時期であり,この時期に感染症が強く示唆されれば,原因菌が同定できなくても,手術部位と感染巣の部位,言い換えれば,術後感染症の種類を特定すれば,原因菌を推定することは可能であり,適切な外科的処置はもちろん,推定原因菌に対して抗菌活性を有する抗菌薬を投与することで,術後感染症を克服すべきである.
キーワード
ファジィ理論, 真菌感染, MRSA, E. faecalis, P. aeruginosa
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