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日外会誌. 97(8): 693-697, 1996


総説

慢性アルコール性膵炎の発生機序

広島大学 医学部第2外科

田中 恒夫 , 三浦 義夫 , 真次 康弘 , 小出 圭 , 市場 康之 , 土肥 雪彦

I.内容要旨
慢性アルコール性膵炎(以下CAP)の有用な実験モデルはほとんどない.著者らはアルコール投与に膵管狭窄を加えることにより,新しい実験モデル犬を作製することに成功した.病理組織学的には膵線維化と炎症性細胞浸潤などを認めヒトCAPの組織像に類似していた.そこで,CAPの発生機序に関する従来の仮説の問題点を明らかにし,以下の新しい仮説を提唱する.もし主膵管に軽度の狭窄が存在するとアルコールを含んだ膵液が長時間うっ滞することになるので,アルコールの膵実質細胞障害が増大し,CAPが早期に発生する(New Big Duct Theory).この仮説によりなぜアルコール多飲者の一部にしかCAPが発生しないのか,CAPとアルコール性肝硬変はなぜ同時に合併する頻度が低いのかなどの説明も容易に可能である.

キーワード
慢性アルコール性膵炎, 実験モデル, 発生機序

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