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日外会誌. 97(8): 589-593, 1996


特集

胆道拡張症と胆道閉鎖症-最近の治療の動向-

膵・胆管合流異常と先天性胆道拡張症

大阪大学 医学部小児外科

岡田 正

I.内容要旨
膵胆管合流異常と先天性胆道拡張症との関係につき著者らの経験例,また諸家による報告をまとめ述べた.現在先天性胆道拡張症のほぼ全例が膵・胆管合流異常を伴っており,共通管過長症を形成していることが分かっている.そして年齢に応じて胆道拡張の程度に差を生じ,1歳以下ではしばしば巨大嚢腫を形成する.腹痛は膵炎によるもので共通管を通じての膵液・胆汁の混合により膵液が活性化され,これが膵組織自体を刺戟して惹起される.長期間放置していると胆道結石,胆管・胆嚢癌,また慢性膵炎の母体となるため,なるべく早い手術治療が必要である.
一方合流異常がありながら,一生無症状で経過し,胆道拡張すら起こさないものも見られている.今後どのような例が腹痛発作を惹起するのか,殊にドレーナージ管としての副膵管の形態,意義についても更に詳細な検討がなされなければならない.

キーワード
先天性胆道拡張症, 総胆管囊腫, 膵・胆管合流異常, 胆道癌, 膵炎

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