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日外会誌. 97(7): 563-567, 1996
特集
閉塞性動脈硬化症
血液浄化法による閉塞性動脈硬化症の治療
I.内容要旨下肢閉塞性動脈硬化症患者の約半数において,異脂血症(総コレステロール≧220mg/dl以上,LDLコレステロール≧140mg/dl)が認められる.これらの患者に対しても,家族性高脂血症患者の主に虚血性心疾患治療に適用されてきた血液浄化法が応用されるようになっいる.分子量2,400k dalton以上といわれるアポリポ蛋白Bであるコレステロールを除去するには,技術的には全ての血漿成分を交換する全血漿交換・大分子病因(関連)物質を選択的に除去する二重濾過血漿分離交換法・LDLコレステロールを選択的に吸着除去するLDL吸着が応用可能である.しかし,医工学的利点から,現在ではLDL吸着がもっとも汎用されている.LDL吸着を外来患者に約3カ月間に10回施行するのを1クールとしている.それによる患者の足の温暖化・歩行距離の延長・足の疾痛の軽快,ないしは消失,ときには,足趾の潰瘍の消失というような効果が得られている.生化学的検査では,血中総コレステロール値・LDLコレステロール値が正常化される.また,サーモグラフィーにおける下肢温度の上昇,容積趾尖脈波における脈高の増高,血液粘度の一時的低下,赤血球変形能の一時的改善が起こることが確認されている.ときには,動脈造影において,側副血行路の明らかな発達が認められる症例もある.このような効果は,予後調査によって平均1.2年後に80ないし90%の各自覚的症状の改善が維持されることがわかっている.
キーワード
閉塞性動脈硬化症, 高脂血症, 血液浄化法, 血漿交換, LDL吸着
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