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日外会誌. 97(7): 540-544, 1996


特集

閉塞性動脈硬化症

血栓溶解療法 Thrombolytic therapy

1) 和歌山県立医科大学 放射線科講師
2) 大阪市立大学 医学部放射線科教授

寺田 正樹1) , 山田 龍作2)

I.内容要旨
急性の動脈閉塞症に対する血栓溶解療法の有用性は広く認識されているが,慢性に経過することが多い動脈硬化性閉塞症には効果がないと一般に考えられてきた.しかし,1974年Dotterらのlow-dose streptokinase法の発表以来,血管カテーテルを通じた局所血栓溶解療法が行われるようになり,特に高濃度の線溶物質を直接血栓内に注入することにより予期以上に効果がみられることが明らかになってきた.
我々は,1985年から腸骨・四肢動脈領域の動脈硬化性閉塞症に対して,血栓内大量ウロキナーゼ投与法を行ってきた.これは,血栓内に挿入したカテーテルを通じて,1万単位/生食10ml/分でウロキナーゼを注入し,血栓の部分的な溶解を認めれば,順次カテーテルを閉塞部末梢に進め,常に血栓と接触させながら投与する方法である.本法を行った65病変の結果は.ウロキナーゼの総投与量の平均は62万単位で,初期成功85%,累積1年開存率72%であった.
本法は,すべての閉塞病変を溶かしうるわけではないが,投与法の工夫により従来考えられていた以上に効果が見られ,診断的技術を駆使して行うもので侵襲も少ない.
ここでは,われわれの経験をもとに,慢性の動脈硬化性閉塞症に対する血栓溶解療法について概説する.

キーワード
閉塞性動脈硬化症, 血栓溶解療法, ウロキナーゼ, 末梢動脈, PTA

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