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日外会誌. 97(7): 526-531, 1996


特集

閉塞性動脈硬化症

レーザー血管形成術

神戸大学 医学部第2外科

岡田 昌義 , 吉田 正人

I.内容要旨
近年,血管内の動脈硬化性病変に対して血管内腔より種々のcatheter interventionを駆使して可及的侵襲を少なくして治療を行う血管内治療(Endovascularsurgery)の臨床応用が急速に普及しつつある.この方面での代表的治療法としてはballoon catheterを用いる末梢動脈病変へのpercutaneous transluminal angioplasty(PTA),あるいは冠動脈病変へのPTCAが存在している.ところが,とくに後者での遠隔期において30~40%という高率に再狭窄の発生することが明らかとなり,この対策としてLaser,AtherectomyないしStentなどのnew deviceが台頭するようになった.この中でもレーザー血管形成術は早くも1980年台から基礎的研究が進み,臨床応用も末梢動脈ならびに冠動脈に対して世界での多施設で行われ,その有用性が報告されている.レーザー血管形成術は動脈硬化性病変そのものを直接蒸散,焼灼して血管内腔を根本的に拡大する手段として注目されてきた.しかし,現時点では,本法のみで病変部を完全に切除することは困難なことが多く,PTAあるいはAtherectomy,Stentなどを併用し,良好な成績が得られている.特に,上記のdeviceが不適応となる閉塞性病変に対しては,レーザー血管形成術は再開通の手段として有用であり,各種endovascular interventionの適応拡大に対し,大きく貢献している.今後の課題としては,血管内視鏡や血管内エコー法などの新しい診断法を組み合わせることによって,できるだけ正常動脈壁に損傷を与えることなく,レーザー照射のみで,動脈硬化性病変を蒸散できるようなcatheterの開発が必須である.最終的には,閉塞性動脈疾患の治療法として根本的に再狭窄のない手段として,さらに発展していく分野であると考えている.

キーワード
Laser angioplasty, Arteriosclerosis obliterans, Coronary arterial disease, Angioscopy, Intravascular ultrasound imaging

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