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日外会誌. 97(7): 471-475, 1996


特集

閉塞性動脈硬化症

閉塞性動脈硬化症の病理

慶應義塾大学 医学部病理学教室

細田 泰弘

I.内容要旨
閉塞性動脈硬化症の病理形態学的所見,背景病変,原因,増悪因子について概説を試みた.本症の病理学的所見は基本的に粥状硬化症であるが,血栓による完全閉塞も認められる.
また,内腔が脂質の少ない線維性結合組織によって閉塞を来している像もある.肥厚した内膜あるいは中膜にしばしば石灰沈着が認められる.しかし石灰沈着の程度は粥状硬化と必ずしも並行しない.
動脈閉塞は,無症状の高齢者においてもかなり高頻度でみられ,閉塞性動脈硬化症の臨床的発症時にはすでにかなり完成の域に達している場合が少なくない.それは,動脈循環の減少に対する種々の代償的機序が作動して,循環動態の補正が行われるからである.側副血行の形成と末梢血管抵抗の低下などによる補正が破綻した時に,循環動態不全が出現し,初めて臨床的に発症すると考えられる.
本症は粥状硬化症の一表現形式であり,その原因も基本的に他領域の粥状硬化症と同じであり,多くの原因が複合的に作用するものと考えられる.
増悪因子として,とくに重視されるのは糖尿病である.糖尿病においては単に動脈閉塞のみならず,神経障害,感染など原疾患による影響が加わり病像をさらに悪化させるものと考えられる.

キーワード
閉塞性動脈硬化症, 病理, 総説, 粥状硬化症, 糖尿病

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