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日外会誌. 97(2): 123-130, 1996
特集
外科と糖鎖抗原-癌関連糖鎖抗原の意義-
癌化に伴う複合糖質糖鎖構造の変化
-糖脂質の癌性変化を中心に-
I.内容要旨細胞の癌化によって複合糖質の糖鎖構造は劇的な変化を示す.複合糖質は細胞表面にあって,細胞相互の認識・応答にかかわっていることから,癌細胞に見られた糖鎖構造の変化は,細胞間の接着性の変化,増殖,細胞運動や転移性の獲得などに深く関連していると思われる.糖脂質糖鎖の癌性変化の特徴の一つはonco-fetalな変化であり,もう一つは免疫担当細胞の特徴的糖脂質への分子模倣(molecular mimicry)である.この現象は宿主のなかで癌細胞が,いかに巧みに免疫監視機構を免れているかを物語っている.本章では代表的な糖脂質の癌性変化を紹介すると共に,癌関連糖脂質合成酵素の癌性変化,そして転移に関連する最近の筆者らの研究成果をまとめた.
キーワード
癌関連糖脂質, 糖転移酵素, 転移, 癌胎児性抗原
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