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日外会誌. 96(12): 815-818, 1995
症例報告
腹腔動脈起始部圧迫症候群を合併した膵頭部癌の1例
I.内容要旨腹腔動脈起始部圧迫症候群(以下本症)を合併した膵頭部癌の1例を経験した.症例は51歳の女性.上腸間膜動脈造影により拡張した下膵十二指腸動脈,後上膵十二指腸動脈経由で肝動脈が造影された.大動脈造影側方向撮影で腹腔動脈起始部に狭窄を認め,本症と診断した.正中弓状靱帯を切離し,腹腔動脈起始部の圧迫を解除した後に,膵頭十二指腸切除を施行した.術後経過は良好で肝機能検査は正常であった.術後血管造影で腹腔動脈起始部の狭窄は改善されていた.本症の患者に膵頭十二指腸切除を施行する場合,肝血流を維持する十分な対策が必要であると思われた.
本症の原因は“median arcuate ligament''(正中弓状靱帯)による圧迫である.これを“medial arcuate ligament''(内側弓状靱帯)と混同した報告が散見されることを述べた.
キーワード
腹腔動脈起始部圧迫症候群, 正中弓状靱帯, 膵頭十二指腸切除
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