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日外会誌. 96(10): 680-684, 1995


原著

直腸癌術後の膀胱機能障害の検討

1) 東京医科歯科大学 第1外科
2) 東京医科歯科大学 泌尿器科

松本 日洋1) , 岡部 聡1) , 谷畑 英一1) , 永松 秀樹2) , 森田 隆2) , 遠藤 光夫1)

(1994年3月16日受付)

I.内容要旨
直腸癌術後には膀胱機能障害が高頻度に発生する.そこで,直腸癌術後の骨盤内自律神経の障害範囲と膀胱機能障害との関係を男性14例(平均51.7歳)において検討した.下腹神経の膀胱機能に対する影響は臨床上では少ない.膀胱機能に対する骨盤神経叢膀胱枝の支配は両側性である.骨盤内臓神経(PSN)の片側障害では機能は代償され,両側の部分的障害では機能障害が高度に出現する.しかしPSNの両側障害でもそれが部分的障害である限り,臨床上術後3カ月後には代償される.膀胱機能を支配する骨盤神経叢膀胱枝は,下位のPSNに優位に含まれることが示唆される.直腸癌術後の骨盤神経叢膀胱枝の障害度の評価には,尿流量曲線型,残尿測定,膀胱内圧曲線型,膀胱コンプライアンス測定が有用だが,臨床症状の重症度の評価には尿流量測定での曲線型,排尿時間,平均尿流量,残尿量測定が有用である.

キーワード
直腸癌術後, 膀胱機能障害, 骨盤内自律神経, 膀胱機能の評価

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