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日外会誌. 96(6): 399-401, 1995


症例報告

十二指腸重複症の1例と本邦報告例の検討

福井医科大学 第1外科学教室

五井 孝憲 , 片山 寛次 , 広瀬 和郎 , 関 弘明 , 磯部 芳彰 , 山口 明夫 , 中川原 儀三

(1994年2月3日受付)

I.内容要旨
消化管重複症は全消化管に発生しうる比較的まれな先天性疾患である.そのなかで十二指腸に関しては発生頻度は低く,現在まで42例の報告を認めるのみである.今回われわれはその1例を経験したので報告するとともに,本邦報告例を集計し検討をおこなった.症例は34歳女性,上腹部痛および吐血を主訴として来院した.内視鏡検査にて十二指腸球部前壁に陥凹を伴う隆起性病変が認められ,また陥凹底部の病理組織所見より正常十二指腸粘膜を確認したことから本症が最も疑われた.保存的に止血できたため,経過観察していたが,数日後大量の吐血をきたしたため,緊急手術をおこなった.悪性腫瘍の存在は否定的であり切除は,一部正常組織を含めて隆起性病変の楔状切除をおこなった.切除標本では病変部は1.7×2.1cmの隆起を示し,中心部に潰瘍が認められた.最終的に病理組織診断から病変は重複十二指腸の一部と考えられた.

キーワード
消化管重複症, 十二指腸重複症

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