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日外会誌. 96(3): 145-152, 1995
原著
大腸癌肝転移肝切除後のLipiodol・制癌剤門脈内注入療法の意義
I.内容要旨大腸癌肝転移肝切除後におこる残肝再発は予後を左右する大きな因子の1つである.残肝再発は肝切除時に確認できない残肝内の微小転移巣から発生するものと推察され,この微小転移巣は門脈血流支配である.今回われわれは大腸癌肝転移肝切除後の残肝再発予防および生存率の向上を目的に経門脈性Lipiodol (以下LP)・制癌剤投与をおこない検討を加えた.
対象は大腸癌肝転移例に対し,肝切除後埋め込み式リザーバー付きカテーテルを留置し経門脈性LP• 制癌剤投与をおこなった肝切除+ transcatheter portal vein infusion(以下TPI)群28例と肝切除単独群27例である.TPI療法は術後3週目より5-FU 500mgを14日間および5週目にLP 6mlとAclarubicin (ACR) 40mgを投与した.以後は3~6カ月毎にLP-ACRもしくはmitomycin CのTPI療法を続けた.
両群の背景因子に差はみられなかった.TPI療法中にTPI療法を中止しなくてはならないような重篤な合併症は出現しなかった.肝切除後累積生存率をみると,肝切除単独群,肝切除+TPI群はそれぞれ1年,63.0%,89.3%,2年,43.3%,55.2%,3年,27.5%,27.0%であり,肝切除+TPI群は1年累積生存率において有意の延長を認めた.残肝再発率は両群間に差を認められなかった.肝切除+TPI群はH
2例および肝転移多発例に生存率向上を認めた.
大腸癌肝転移肝切除後TPI療法は早期の生存率を向上させ,H
2例および肝転移多発例の肝切除において特にTPI療法の有用性が示唆された.
キーワード
大腸癌肝転移, 肝切除, 経門脈性制癌剤投与, lipiodol, adjuvant chemotherapy
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