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日外会誌. 95(1): 44-47, 1994


症例報告

特発性血小板減少性紫斑病と消費性凝固障害を合併した腹部大動脈瘤の1手術例

群馬大学 医学部第2外科

市川 秀昭 , 浜田 芳郎 , 石川 進 , 津田 京一郎 , 吉田 一郎 , 高橋 徹 , 森下 靖雄

(1992年9月30日受付)

I.内容要旨
特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) と腹部大動脈瘤 (AAA) に伴う消費性凝固障害のために,出血傾向の見られた症例に対しAAAの手術を施行した.術前に免疫グロブリン (400mg/kg/日, 5日間) とヘパリン (10,000単位/日) を持続点滴し,血小板数を14,000/μLより80,000/μLに改善させた後,血液回収装置を用いてY型人工血管置換術と摘脾を行った.術後,問題になる出血もなく,第14病日には血小板数も260,000/μLと正常に復した.
ITPと消費性凝固障害を合併したAAAの手術報告例はない事から,術前・術中の留意点を中心に報告した.

キーワード
腹部大動脈瘤, 特発性血小板減少性紫斑病, 消費性凝固障害

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