[書誌情報] [全文PDF] (1602KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 93(8): 805-810, 1992


原著

十二指腸乳頭部癌の外科治療成績と問題点

名古屋大学 医学部第2外科

中尾 昭公 , 原田 明生 , 野浪 敏明 , 岸本 若彦 , 竹田 伸 , 黒川 剛 , 高木 弘

(1991年5月31日受付)

I.内容要旨
1981年より1991年迄の十二指腸乳頭部癌の手術切除率は92.2% (26/28)であった. 25例に膵頭十二指腸切除術を, 1例に膵全摘術を施行し,術死,入院死は0% (0/26) であった.根治術施行例の5年累積生存率は52%であった. 26例の摘除標本について病理組織学的ならびに各種消化器癌関連抗原に対する抗体を用い,免疫組織化学的染色も併施し検討し, さらに予後との関連について検討した.組織学的癌進展度と予後は相関し, とくに膵実質浸潤を認める症例の予後は極めて不良で,神経周囲侵襲を認める症例もあった.膵実質浸潤を認める症例の多くは免疫組織化学的染色でGrade IIIに染色され,膵頭部膵管癌と類似した染色様式を認めた.一方,癌浸潤がOddi筋内に届まるものの予後は極めて良好で5年生存率100%であり,早期乳頭部癌と定義してもよいと考えられた.超音波内視鏡検査を中心とした各種画像診断で,術前に癌の進展度を正確に把握し,進展度に応じた手術術式の選択と進行例に対しては拡大手術に加えて,より有効な集学的治療法の確立が必要である.

キーワード
十二指腸乳頭部癌, 膵頭十二指腸切除術, 十二指腸乳頭部癌膵浸潤, 免疫組織化学的染色, CA19-9

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。