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日外会誌. 93(6): 651-653, 1992


症例報告

直腸子宮内膜症癌化の1例

名鉄病院 外科

安井 元司 , 安藤 修久 , 野崎 英樹 , 遠山 道正 , 片岡 将

(1991年2月18日受付)

I.内容要旨
子宮内膜症は子宮内膜組織が異所性に増殖する疾患で,腸管に発生することはまれである.今回われわれは極めてまれで,世界6例しか報告のない腸管子宮内膜症の癌化例を経験したので報告する.症例は44歳,女性で,腸閉塞にて人工肛門を造設した.術後精査したところ,上部直腸(Ra)にほぽ全周性の粘膜下腫瘍を認めた.二期的に低位前方切除・人工肛門閉鎖術を行った.切除標本・ルーペ像で粘膜は保たれ,筋層・漿膜は肥厚していた.病理組織像では子宮内膜腺と周囲組合織を認め,その近傍に腺管腺癌を認めた.さらに良性子宮内膜組織から内膜癌への移行もみられ,扁平上皮化生も共存していた.以上より直腸子宮内膜癌と診断した.

キーワード
直腸子宮内膜症, 癌化

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