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日外会誌. 93(4): 352-362, 1992
原著
脾臓および末梢血単核細胞より誘導したヒトlymphokine-activated killer (LAK)細胞におけるパーフォリンの発現に関する研究
I.内容要旨パーフォリンは,免疫系のキラー細胞の細胞質顆粒内に存在する蛋白で,それらの重要な細胞障害因子と言われている.われわれは,ヒトパーフォリンのcDNAをクローニングすることに成功した.今回は, このcDNAを用いて, lymphokine-activatedkiller (LAK)細胞におけるパーフォリンの発現について検討した.
ヒト脾臓より単核細胞を分離し,recombinant interleukin-2を添加して培養し,LAK細胞を誘導した.バーフォリンmRNAの発現を経日的にみると,day0ではほとんど発現なく,day1に著明に発現の増強がみられ,day2以降は減弱した.これは,K562とDaudi細胞に対する細胞障害活性のピークに1日先行する形で相関していた.末梢血単核細胞由来のLAK細胞においても,パーフォリンの発現は,day0を1とすると, day1が3.6,day 2が1.8であった.抗パーフォリン抗体を用いた免疫染色により, blast化した大型の細胞の細胞質にパーフォリンが染色され,パーフォリンの誘導が蛋白レベルでも確認された. flow cytometryにより,パーフォリンを持つ細胞は, CD16
+のNK細胞のほとんどと, CD8
+Tリンパ球の一部であった.また,パーフォリンと同時に,tumor necrosis factor(TNF)-αβ,interferon (IFN)-γも誘導されていた.
以上より,脾臓および末梢血単核細胞由来のLAK細胞において,パーフォリンの誘導されていることが,mRNAレベルでも蛋白レベルでも確認された.mRNAレベルでは,day1にピークを示し,細胞障害活性に1日先行する形で相関していた.パーフォリンを有するサブセットは,NK細胞のほとんどと,CD8
+Tリンパ球の一部であった.また,パーフォリンと同時にTNF,IFNも誘導されており,これらの物質が,相互に協調して作用し,総合的な細胞障害活性を示す可能性が示唆された.
キーワード
LAK細胞, パーフォリン, ノーザン・ブロッティング, flow cytometry
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