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日外会誌. 93(3): 332-335, 1992


症例報告

血行再建し得た上腸間膜動脈より分岐した脾動脈起始部動脈瘤の1例

1) 小牧市民病院 外科
2) 名古屋大学 医学部胸部外科

禰冝田 政隆1) , 末永 裕之1) , 鈴木 祐一1) , 小寺 泰弘1) , 谷口 健次1) , 余語 弘1) , 岡本 浩2)

(1991年1月7日受付)

I.内容要旨
上腸間膜動脈より分岐した巨大な脾動脈起始部動脈瘤に対し,頸動脈内膜剥離術用biballoon内シャントを用いて腸管虚血を予防しつつ,瘤を部分切除して末梢側牌動脈と血行再建をし得た1例を経験したので報告する.
症例は76歳の女性で腰痛及び腹痛を主訴として来院した.単純X線写真で輪状の石灰化陰影を認め超音波検査, CTにて動脈瘤が疑われ,血管造影では牌動脈が上腸間膜動脈より分岐するという特異なvariationで,その起始部に発生した牌動脈瘤と診断し,平成元年12月25日手術を施行した.動脈瘤は上腸間膜動脈と接して存在し根部での結紮は不能であったが,前述の方法にて虚血を予防しつつ血行行再建術が可能であった.このbiballoon内シャントを用いた術式は安全且つ簡便であり,類似症例にも応用できると思われた.

キーワード
脾動脈瘤, biballoon 内シャント, 血行再建

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