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日外会誌. 93(2): 208-211, 1992
症例報告
DNA heterogeneity を示した甲状腺乳頭癌の1剖検例
ー原発巣および転移巣の DNA 量の比較ー
I.内容要旨DNA heterogeneityを示した甲状腺乳頭癌の1例を経験した.症例は56歳女性. 1986年左甲状腺癌の診断となるが,心不全状態により手術不能と考え,内照射療法,外照射療法,局所免疫療法を行うも,奏効せず, 1989年死亡した.剖検時の摘出標本より,原発巣,転移巣(胸骨,頸部および縦隔リンパ節,肺)の各々についてFlow cytometryを用いて核DNA量測定し,またサイログロブリン,CA19-9, CA125の免疫組織染色も併せて行った.Ploidy patternと免疫組織染色との間には明らかな関連性は認められなかった.原発巣内,胸骨転移巣および肺転移巣にはDNA diploid (DP) とDNA index (DI) 1.3のDNA aneuploid (AP) の2つのパターンが認められたが,リンパ節転移巣にはDPのみが認められた.転移のメカニズムを考えるうえでも有用と思われたので報告する.
キーワード
甲状腺癌, DNA heterogeneity, 転移
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