[書誌情報] [全文PDF] (2473KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 91(10): 1603-1607, 1990


原著

Dimethylbenzanthracene (DMBA) 誘発ラット乳癌の悪性度およびホルモンレセプターに及ぼす高脂肪食の影響

1) 金沢大学医学部付属病院 手術部
2) 金沢大学医学部付属病院 第2外科

野口 昌邦1)2) , 熊木 健雄2) , 谷屋 隆雄2) , 小矢崎 直博2) , 宮崎 逸夫2)

(1989年10月16日受付)

I.内容要旨
乳癌の悪性度およびホルモンレセプターに及ぼす高脂肪食の影響をDimethyl benzanthracene (DMBA)誘発ラット乳癌を用いて検討した.Sprague-Dawley系雌ラットにDMBA 7.5mgを胃内投与し,低脂肪食および高脂肪食で飼育し,20週間後に腫瘤を摘出した.その結果,腫瘍の発生頻度は低脂肪食群,高脂肪食群でそれぞれ46%,86%であり,高脂肪食群で有意に高かった(p<0.01).また高脂肪食群は低脂肪食群に比して腫瘤の平均径で有意に大きく,また腫瘤発生までの潜伏期間で有意に短かった(p<0.01).一方,腫瘍のDNA ploidy patternは,低脂肪食群の8%のみがaneuploidyであるのに比して高脂肪食群は69%がaneuploidyであった(p<0.01).しかし,腫瘤組織のERおよびPgRレセプターに関して両群間に差を認めなかった.従って,高脂肪食はDMBA誘発ラット乳癌のホルモンレセプターに影響を及ぼさないが,その悪性度を増強させることが明かとなった.

キーワード
高脂肪食, 乳癌, 悪性度, ホルモンレセプター

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。