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日外会誌. 90(11): 1848-1854, 1989


原著

Anti-BrdU monoclonal antibody を用いた Flow cytometry による胃癌の細胞動態の解析

金沢大学 医学部第2外科

大山 繁和 , 米村 豊 , 宮崎 逸夫

(1988年12月28日受付)

I.内容要旨
胃癌117例を対象に,anti-BrdU monoclonal antibodyを用いてflow cytometryにてDNA ploidypattern,細胞動態の解析を行った.2Cの決定は,ヒトリンパ球を用いて行いDNA Index 1.0をdiploidy,それ以外のものをaneuploidyとした.DNA ploidy patternを,D1:diploidy,D2: diploidy+aneuploidy,A1: aneuploidy,A2: aneuploidy+aneuploidyの4型に分類し,S期細胞比率は,bivariate BrdU /DNA distributionより算出した.
非癌部胃粘膜は,すべてdiploidyであり,S期細胞比率は0.1%~1.2%と低値であった.癌組織には,aneuploidyが70.0%(80/117)にみられ,そのうちわけはD1型36例,D2型38例,A1型15例,A2型27例であった.ploidy patternごとにS期細胞比率を検討したところ,D1型が6.1±2.5%であったのに対し,D2:13.6±6.2%, A1:12.5±4.5%, A2: 16.0±3.2%と,いずれもD1型に比し高値を示し(p<0.01), A2型ではA1型に比し有意に(p<0.01)高値を示した.
予後の検討では, aneuploidyはdiploidyに比し, A2型はD1型に比し予後不良であり(p<0.05),またS期細胞比率10%以上の症例は10%未満の症例に比し予後不良であった(p<0. 05).
これらのことより, DNA ploidy pattern, S期細胞比率は,胃癌の重要な予後規定因子の一つになりうるものと推察された.

キーワード
Flow cytometry, Bromodeoxyuridine, DNA, gastric cancer

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