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日外会誌. 90(10): 1806-1809, 1989
症例報告
慢性膵炎による Hemosuccus pancreaticus の1例
I.内容要旨Hemosuccus pancreaticusとは膵管を経由したVater乳頭よりの出血を意味し, 1970年にSandblornにより造語された. Sandblomはその原著のなかで顕著な消化管出血を3主徴の1つとしてあげており,実際現在まで報告されている全例にそれを認めている.著者が報告した過去2例の症例でも同様であったが,今回吐下血を認めないhemosuccus pancreaticusの1例を経験した.
症例は68歳の男で,時々の左季肋部痛を主訴として来院した.タール便はあったが吐下血はなく,また慢性膵炎の診断を受けたこともなかった.諸検査の結果,真性牌動脈瘤によるhemosuccus pancreaticusと考え手術を施行したが,術中所見病理所見ともに膵仮性嚢胞内出血によるhemosuccus pancreaticusであった.本症例を経験し過去の2自験例と比較検討したところ,診断治療上微妙な相違点があったので報告する.
キーワード
hemosuccus pancreaticus, 慢性膵炎, 消化管出血
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