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日外会誌. 89(11): 1869-1878, 1988


原著

食道静脈瘤発症,進展機序における左胃動静脈の役割について

日本医科大学 第1外科学教室(主任:恩田昌彦教授)

梅原 松臣

(昭和62年11月11日受付)

I.内容要旨
食道静脈瘤を有する門脈圧亢進症患者44例に対して, Scintiphoto splenoportography(SSP),左胃動脈造影および左胃静脈造影をおこない,食道静脈瘤との関係について検討した.
① SSPにより44例は,左胃静脈が遠肝性であったI群34例(77.3%) と,求肝性あるいはto and fro性と考えられたII群10例(22.7%) に分類された.
② I群はII群に比して,内視鏡所見で明らかに静脈瘤が高度であり,吐血歴を有する症例も多かった.また吐血歴を有していた症例の90.5%,治療対象となった症例の93.3%がI群症例であった.
③左胃静脈径はI群がII群に比し有意に拡張していた(p<0.01).またK.ICGはI群がII群に比し有意に低下していた(p<0.01).その他の肝機能検査でもI群はII群より低下している傾向がみられた.両群の門脈圧,脾容積に有意差はなかつた.
④選択的左胃動静脈造影の結果,左胃動脈が単独で静脈瘤への血液供給路となっていた症例は37例中11例(29.7)%で,静脈瘤の程度は軽かった.一方,左胃動脈および左胃静脈の双方が血液供給路となっていた静脈瘤は26例(70.3%)であり,吐血歴,内視鏡所見ともに左胃動脈単独供給例より高度なものが多かった.

キーワード
食道静脈瘤, 左胃動脈造影, 経皮経肝的門脈造影, 経脾的RI門脈造影 (SSP)

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