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日外会誌. 89(11): 1834-1842, 1988
原著
コレステロール胆石症における胆石および胆汁の結晶光学的観察
I.内容要旨コレステロール胆石の成長過程を結晶学的な見地から検討するために,胆嚢摘出術を受けた症例の胆石および胆汁を,偏光や位相差などの光学的手法を用いて観察した.
まず,胆石中のコレステロール結晶構築を知るために,胆石の中心部付近を通る面での研磨薄片標本を作製し,偏光顕微鏡で観察した.さらに,半割した胆石を水中で超音波処理し,剥脱してくる結晶片を同様に観察した.
また,手術時に採取した胆嚢胆汁を偏光および透過型位相差顕微鏡を用いて観察し,そこに含まれるコレステロールー水化物結晶の形態や成長様式について検討し,以下の結論を得た.
1. コレステロール胆石は,コレステロールー水化物が多数集合した多結晶体であり,結晶構築の基本は単結晶の放射状配列である.
2. コレステロール胆石症患者の胆嚢胆汁中には,コレステロールー水化物の単結晶が遊離して,あるいは複数個が{001}面で付着しあい凝集した状態で存在する.
3. 胆汁中の個々の単結晶の成長は,二次元核生成やspiral growthなどの沿面成長(lateral growth)の機構で支配されている.
4. 胆石が大きくなる過程は,胆汁中単結晶の凝集と,それに続く個々の単結晶のlateral growthによる成長という二つのメカニズムに依存している.
キーワード
コレステロール胆石, コレステロール結晶, 結晶光学, 結晶成長, SPIRAL GROWTH
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